Yukina's Orangedays Diary

最近は子育て記録です。

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』感想

見てきました。

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すごくすごく良かったです……!

見に行って本当に良かった。

 

アカデミー賞作品賞受賞の話題作。

半魚人(という言い方でいいのかはわからない)の『彼』と、口のきけないイライザとの純愛、というところまでは前情報で知っていたけれど、実際に鑑賞すると、そんな前情報以上にインパクトに残る作品でした。

 

まず、音楽と映像がオシャレ。

オープニングの水の中でたゆたう家具の様子と、テーマ曲が見事にマッチしていて素敵だし、上の画像のあのシーンももちろん素敵だし、部屋の中に水をためて裸の二人で抱き合っているところもなんと美しいことでしょう。

 

そういう水の中のシーンが素敵なのは言うまでもなく、イライザが住んでいるマンションも、映画館の真上っていう設定でオシャレだったなぁ。

設定は1960年代らしい。

 

あのイライザの日常風景はなんとなく『アメリ』を思い出させる、オシャレさと、日常の妙なリアリティと、下品さがごちゃまぜになって、独特の雰囲気を作り出していて最高。

劇中で流れるテレビの音楽も素敵だったねぇ。

 

そしてもちろんストーリー展開も目が離せない!

『人魚姫』や『美女と野獣』を、きれいなおとぎ話ではなく、より現実味を持たせたらこんな感じなんのかなって感じました。

 

まず、半魚人の『彼』の造形がこわい!

最初の方なんて、見た目も怖いし、何されるかわかんないし、イライザはよく近寄れるな!?と勝手に引いちゃったよ。

 

だからこそ、音楽を介して仲を深めていくあの様子や救出劇は、やはりあの造形にインパクトがあるからこそ、わたしの中でかなりショッキングでした。

ディズニーの『美女と野獣』では、野獣だけどなんだかかっこいいしグロテスクではないからねぇ。

 

ショッキングと言えば、性的なシーンも多くて、これも印象に残る一因かな。

まず最初の5分ぐらいでイライザが一人でしてるし、『彼』とのシーンなんてめちゃくちゃ動揺してしまった。

でも、この話はファンタジーではあるんだけど、現実の性的なものなんてそんなに美しいものでもないし、美化もできなくって、グロテスクで下品で、だけどそこに愛があるから美化されてしまうんじゃないかなとか考えてしまった。

 

半魚人の『彼』についても、造形がおそろしいんだけど、次第に打ち解けてきて、「おや、こわくないかも……」って思わせといて、猫を食べちゃうところなんて、これも衝撃だったなぁ。

やっぱり人間ではない生き物だと再認識させられたというか。

 

だけど、逃げ出した『彼』が、わたしは絶対「外で暴れて大変なことになっているのでは!?」と思い込んでいたんだけど、誰もいない映画館で立ち尽くしているあの様子なんて、「暴れている」なんて浅はかな想像をした自分が恥ずかしくなったりね。

あ、あの映画館のシーンも最高に素敵でした。

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』はイライザと『彼』との純愛だけの話かと思いきや、それだけじゃなかったことも飽きさせないストーリーの要因かな。

 

国の実験として使われようとしている『彼』をめぐるストリックランドと博士の対立や、博士と国の駆け引きめいたやり取りなんて、いつ人が死ぬかわかったもんじゃなくてハラハラしっぱしでした。

ストリックランドは絵にかいたような悪人顔の悪人で、もはやすがすがしいぐらい。

博士は良い人。

 

でも何より、この作品のテーマはやっぱり差別なんだよな。

『障害』『職業』『黒人』『ゲイ』、そういった人々で成り立っていて、そういった差別が『彼』とイライザに集約されているというのかな。

なので、映画では1960年代の話なんだけど、やっぱり現代の話なんだなって気がしました。

 

友人のゼルダや隣人のジャイルズもとても良かったですね。

ゼルダはあけすけな性格で下品なことも平気で言うけど、それこそが彼女の強さだし、ジャイルズは最後までイライザのそばにいてくれて、友人のやさしさがイライザを支えてくれて、いや、もう最高としか言えないです。

 

とうわけで、大好きな映画となりました『シェイプ・オブ・ウォーター』。

サントラ買おうか迷っている。