映画『アデル、ブルーは熱い色』感想
『アデル』を見ました。
以前に見たのはいつだったかなと思ったら4年前でした。
当時は最高の映画だと思っていて、今回再度見直して、やっぱり最高の映画でした……。100点です。
なお、夫は全然好きじゃなかった模様。
『レズビアンの映画』と言ってしまえばそれまでで、主人公の2人、エマとアデルの会話や、日常生活、環境の変化、微妙にすれ違ってくる気持ち、がこんなにも自然と描かれているのが素晴らしいんだよね。
映画公開当時に話題となったのが、2人のセックスシーンで、なんと10分以上!
18禁ではあるけれど、ポルノ映画ではないので、この長さはわたしにとっては結構衝撃的でした。
そして今回DVDではそこがまるっとカットされてるっていうね!
絶対に許さない。怒。
別にエッチなシーン目的で見ているわけではなく(いや、もちろんそのシーン目的というのもあるけれど)、2人の初めてのあのシーンがきちんと描かれるよって、友情とは全然違うものが芽生えた瞬間とか、2人の愛が如実にわかって最高なのに!
セックスって気づいたら終わってるものじゃないでしょう?
そこを生々しく描いているところにわたしはグッときたから、やっぱりDVDでも見たかったです。
とは言っても、実際ストーリーには関わらないので、物語に支障はないけどね。
『アデル』の最高の話に戻るけど、まず、わたしはフランスが好き!(雑)
フランスってだけでなんだかお洒落だなぁと思ってしまうんだけど、さらに2人の会話や2人を取り巻く会話もお洒落なんですよね。
文学と哲学と美術の話。
もっともっと聞きたい。
食事のシーンもわたしは好きです。
『アデル』で特徴的なのは、食事のシーンで顔のアップがやたらと出てくるところ。
人によっては汚い感じがして嫌いかもしれないけど、わたしはこの現実に近い、リアルな感じがとっても好きでした。
ケバブ、ボロネーゼ、かき、そしてワイン!
どれもおいしそうだし、みんな楽しそうにほおばりまくって食べているのが見ていて気持ちがいい。
食べているところが妙に性的でもあって、そういったことも意識して撮影されているのかなぁ。
そして今回2度目の視聴の『アデル』で、2人のすれ違いの様子が初めて見たときより、よりよくわかってつらかったです。
堅実な道を進むアデルと、芸術家を目指すエマ。
エマにとってアデルは夢をあきらめているように見えたかもしれないし、初めて映画を見たわたしも、アデルはもっと冒険すればいいのに!と思ってました。
けど、今回見て感じたのは、アデルは全く何も我慢してなくて、好きなことをしているんだなってことです。
何もアーティストを目指すことだけが『夢を追う』ってことではないし、アデルにとっては幼稚園の先生が夢だったわけで、その夢を叶えて毎日働いているのに、その生活を「無理してる」「やりたいことをやれば?」と言われると、つらいよねぇ。
でも、エマの言う通り、アデルは学生のとき熱心に文学を勉強していたし、真面目に文学に向き合っている姿をエマは見ているわけだから、その能力を活かさないのは、美術学校を卒業してアーティストとしてそのまま進んできたエマにとってはもどかしかったんだろうな。
別れに至った原因は「寂しかったから浮気しちゃったの!」なんてことをいうアデルが原因だと思っていたけど、それは決定的な瞬間のひとつであって、実際は日常の微妙な心のすれ違いが少しずつ積み重なってしまったんじゃないかと改めて感じちゃってね。
ラストシーンも好きです。
別れてから、エマの展覧会にアデルが見に行き、久しぶりの再会。
アデルが自分がモデルになったエマの作品を見て感動する……という展開はいっさいなく、むしろ作品なんてほぼ焦点に当てられないし、アデルも、ふーん、ぐらいに作品を見てるのが妙に現実味あって好き。
作品そのものよりも、完全に別々の道を2人が進んでいることを再認識してしまって、すぐにアデルが帰っちゃうあの感じ!
やっぱり元には戻れないんだなと切なくなったし、だけど新しいなにかが始まる予感も感じさせつつそのまま終わり。
ひゃー、最高!
そして、アデル演じる女優のアデルさん、とっても魅力的で素敵。
無造作に髪の毛を束ねるシーンが多くて、その仕草がとてもセクシーだし、雑な感じに束ねてるのに、めっちゃかわいい。
ピタッとしたジーンズにプリッとしたおしりも大きくて色っぽかったな。
エマ役のレア・セドゥはさすがの美人さ。
レア・セドゥって出てる映画によって雰囲気が全然違って、どの映画に出てたのか全く思い出せないんだよね。
今回の『アデル』では、ショートカットの男っぽい女性で、美人だしかっこいいし、一目惚れしちゃうよな……。
そういえば、エマが授業の中で一目惚れの話を聞いて、そこからアデルへの一目惚れへつながっていくあの流れ、とてもロマンチックで良いですね。
3時間もあるかなり長い映画だし、ものすごい起承転結があるわけでもない映画なんだけど、2人の日常の生活が丁寧に描かれている感じが大好きです。
退屈する人は退屈しちゃうかもしれないんだけど、わたしは改めて全力でおすすめしておきます。