「ルドン―秘密の花園」展@三菱一号館美術館 感想
最終日駆け込みで行ってきました!
ルドンと言えば、明るい色彩で、奇妙な生物を描いているのが有名で(一つ目の≪キュクロプス≫とかね)、そのイメージしかなかったです。
今回の展覧会全体を見てわたしが思ったのは、確かにそういった作風でない作品も多いんだけど、やっぱり神話の生物の興味、そして神話だけではなく、実在する植物への関心が強い画家だったということです。
色彩豊かな絵を描き始める前、ルドンは版画に興味を持っていたらしく(今回の展覧会では「ルドンの『黒』」と呼んでいた)、版画集をいくつか出していたんですけど、その作品の中にも奇妙な生物や、奇妙な植物、そして不気味な人々がたくさん登場していて、ルドンは一貫してそういったものに興味があったことがよくわかりました。
版画でそういった作品を描かれると、すごく気味が悪くて良かったです。
これが後に色彩豊かな作品に変化していくんだけど、色彩豊かなはずなのに、やっぱり暗くて奇妙で、それこそがルドンの特徴になっているのが最高でした。
今回のメイン展示「ドムシー男爵の食堂装飾」は、淡い色彩で、黄色っぽい色で主に花が描かれていて、明るい感じがするんだけど、やっぱりどことなく暗く儚い雰囲気でした。
一番のメイン装飾≪グラン・ブーケ≫だけが異色だったなぁ。
青の花瓶に色とりどりの花。
花が虫のようにも見えてくる。
この作品だけ色彩がはっきりしていて、統一感がないのが不思議。
ルドンは≪グラン・ブーケ≫だけではなくたくさんの花瓶に生けられた花の絵を描いているんだけど、どれも全部花が生きているようにうねうねしていて、単なる静物画じゃない感じが気持ち悪くて好きです。
宗教画もいくつか描いていました。
けれど、どの作品も主題がはっきりしないし、むしろあえて主題をはっきりさせなかったみたいで、ルドンにはそういった作品が多くておもしろいな、と。
行きたい展覧会がまだいくつかあるので、しばらく休日は展覧会に費やします。