土井善晴『一汁一菜でよいという提案』感想
読みました。
何も泣けることは書かれていないのに、最初の20ページぐらいで泣いてしまう本でした。
土井先生の優しさにあふれていて、その思いだけで泣けてしまうんですよね……。
料理研究家の土井善晴先生による食のエッセイで、レシピ本ではありません。
タイトル通り、食事は『一汁一菜』でいいというお話で、食事と言えば『一汁三菜』でなければいけないという考え方を一変させてくれる、なんとも料理嫌いの人や日々の生活に追われている人に優しい本でした。
ご飯と具だくさんのお味噌汁、ただそれだけあればいい、それで十分に栄養は取れるということ。
忙しくてもおいしくなくても日々一生懸命作ることが大切だということ。
家の台所でその場で作ることの大切さとか、無理せずお料理を続けることとか、そういったことが丁寧に書かれていて、読んでいるだけでホッとさせられます。
わたしは料理が得意ではないし、好きではないし、いまは結婚して共働き、これからは子どももできて、さらに日々の生活に追われることでしょう。
そういったときに買ったものや外食でパッと済ませるんじゃなくて、お味噌だけでいいから自分で作って、大げさかもしれないけど、命を大切にするということ。
この本を読んでいると、適当な外食で済ませることが恥ずかしくなって、家に帰ってお味噌汁作ろうという前向きな気持ちになれます。
というか、お味噌汁だけでいいって言ってくれる土井先生が優しいし、それだけでいいんだって思わせてくれて本当にうれしい。
実際は家族のためにおかずも作るんだろうけど、無理しなくていいんだよって言ってくれているようで、心が軽くなるんだよなぁ。
『一汁一菜でよいという提案』はエッセイ本なんだけど、わたしはもちろんレシピ本も愛用中。
どのレシピも簡単でおいしくって大好き。
最近ではNHKの『きょうの料理』での土井先生&後藤アナウンサーのコンビが最高の癒しですね。最強の癒し系おじさんです。
日々に疲れたとき、料理に嫌気がさしたとき、何回でも読み直そうと思います。